日本財団 図書館


 

どありませんでした。
人伝てに千葉の病院、最後に東京の女子医大で検査の結果は、「難聴です。早いうちに教育が必要です。ろう学校へ相談に行くように」と言われたときは……。その後、どうしたのか、少しの間でしょうが記憶が途切れています。
家に帰ってからも、ろう学校、早期教育と頭から離れないまま、月日が経ってしまいました。息子の寝顔を見て、辛い日々が続きました。ろう学校そのものがどこにあって、どんな学校なんだろうかなど、毎日考えるばかりでした。
子供が生まれる前のことですが、わたしの姉が千葉の稲毛に住んでいて、団地の隣に盲学校があり、遊びに行ったときはちょうど運動会でした。
目の見えない人たちが一生懸命やっている姿に、拍手を送りました。そのとき姉から、ろう学校という耳の聞こえない人たちの学校が千葉市にあると聞かされたことを思い出しました。
家族で話合い、まずは姉のところへ身を寄せるため、引っ越しの準備をしていました。そのとき、荷作りをしていた新聞に館山ろう学校の文字がありました。本当に偶然でした。それには、「耳の聞こえがおかしいなと思ったら、相談してください。電話をください」と、書いてありました。
こんな身近なところに学校があったなんて…。私は早速、電話をし学校へ行って相談をしました、子供たちと会って、なんて明るい子たちだろうと思いました。「明日から通います」と言いながらも、気持ち半分はどうなることかと思いました。しかし、住み慣れた館山を離れない

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION